朝倉圭一『雑考 3』
1,500円(税込)
(かそけ舎、2026年5月刊)
楽しみにしていた朝倉圭一さんの新刊。今回は「工業デザイン」を民藝の視点から捉え直すという、非常に現代的かつ刺激的な論考です。「あたたかい手仕事↔冷たくて機械的な工業」という二項対立にとらわれていると見えてこないものがたくさん見えてくる読書体験。本や書店づくりにもヒントがたくさんもらえました。コンパクトながらも、噛み応えも味わいも抜群の本です。
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(版元紹介より)
晩年の彼は、めったに人前に出ることがなかった。それでも2006年、深澤直人と私が企画した「スーパーノーマル」展に、ふらりと現れた。会場には、彼の仕事も並んでいた。
会場をまわりしながら、彼はいくつかの作品の前で足を止めた。最後に立ち止まったのは、ストレーナーとボウルが一体になった作品の前だった。それは数年前、彼自身がデザインしたものだった。
"It's beautiful. Who did it?" (美しいね。誰がつくったの?)
ほんのり微笑んで、きらきらと目を輝かせながら、彼はそう呟いた。
̶̶ Jasper Morrison『Goodbye Sori Yanagi』
晩年の柳宗理は、自身の作品の前に立ち止まり「誰がつくったの?」と問いかけた。この一場面が本書の出発点です。雑考シリーズ第3弾となる本著では、民藝運動の創設者・柳宗悦と、その息子でデザイナーの宗理、そして宗理と同時代を生き、半世紀前の民藝を批評したデザイナーの秋岡芳夫、柳宗悦と同世代で熱心な民芸運動の支持者でありながら、協会を離れ独自の民芸運動を展開した三宅忠一らの思想と実践を通じて、時代とともに変容する「民藝」の本質を「関係の美」として捉え直すことを試みた論考です。
■ 本書の見どころ
● 柳宗悦から宗理へ:民藝思想の系譜と根本的な転換点
● 秋岡芳夫の「里がなくなり民藝はなくなった」という診断から現代の可能性を探る
● 老舗と常連の関係に見る、現代における民藝の継続性と実践
● 燕三条の工業現場体験から見える「工藝寄りの工業」「工業寄りの工藝」